コクソン哭声/人は聞きたい事しか聞かない

 前半と後半の見せ方の違いは好き。
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あらすじ

小さな村で、家族を虐殺する事件が連続して起きた。
家族を殺した犯人は、体が湿疹でただれていて言葉を発することも出来ないほど、呆然としていた。
その村には、得体の知らないよそ者の日本人がいた。この事件はそのよそ者の仕業だと噂する村人たち。
事件を調べていた村の警官ジョングは、ある日、自分の娘にも湿疹ができていることに気付く。

キャスト

ジョング=クァク・ドウォン
ヒョジン(ジョングの娘)=キム・ファンヒ
よそ者の日本人=國村隼
イルグァン(祈祷師)=ファン・ジョンミン
ムミョン(目撃者)=チョン・ウヒ



前半、田舎の景色と警察官のジョングの日常が、のんびりと映し出される。
ちょっと怖がりでちょっと怠け者のジョングとその同僚が語る噂話。

何故この事件が起きたのか、前半ですでにジョングは答えにたどり着いている。
きのこの毒が出たと報告があったわけで、最初はそれをジョング自身が言ってる。
そして、同僚がきのこが原因でそんな事になるわけががないと言っても、面倒くさそうにしてる。


ところが、自分の娘に湿疹が出たのを見ると、うろたえ始める。無理もない。
それまで他人事だった事件が、いきなり自分の家族にふりかかってきたのだから。

ジョングの母が祈祷師にお祓いを頼む。前の事件でもそうだったので、このあたりの地域では当たり前のことなんだろう。そしてその祈祷師は、悪霊がとりついたと言う。その悪霊とは、よそ者の日本人だと言う。

ここで冒頭のルカの福音書の言葉が響いてくる。

 人々は恐れおののき霊を見ていると思った。
 そこでイエスは言った。なぜ心に疑いを持つのか。
 私の手や足を見よ。まさに私だ。触れてみよ。このとおり肉も骨もある

ジョングは何としても娘を助けたい。そして祈祷師の言葉を信じてよそ者を追い詰めてしまう。ジョングが祈祷師を信じたのは、彼が悪霊だと言い切った事、そして悪霊なら自分にも出来ることがあったからなのかもしれない。病気だと医者にしか出来ることはないが、悪霊なら、自分にも出来ることがあるかもしれず、何かしてる方が気がまぎれるのだろう。

そうやってどんどん悪霊の噂に取り込まれていくジョングだが、もう1度、考え直すきっかけになりそうなシーンがある。同僚の甥を訪ねて教会へ行った時に、牧師に疑問を投げかけられる。でもその頃には、ジョングは悪霊と思い込んだよそ者の事しか頭にない。持ってしまった疑いは止まらない。

結果、どんどん状況は悪くなるが、前半の気の弱い怠け者のジョングが娘思いの必死な父親に変貌する。


ジョングとジョングの娘のヒョジンに、まさか泣かされるとは思わんかった。
それぐらい、前半と後半のジョングはいい意味で違った。
娘のヒョジンが悪態をついたり、手づかみで物を食べたりする顔と、正気に戻って父にしがみついて泣く声の落差にもやられた。

國村隼のどう思う?って言った後の沈黙は、怖かったな。黙ってて迫力があるっていい。

笑ったのは祈祷師のイルグァン、悪霊はよそ者の日本人だと言ったかと思えば、あれは見立て違いだ、悪霊は女だと言う。、踊りも軽いが言動も軽くていい。

箪笥/人を滅ぼす内なる感情

家族を崩壊させたのは、父か娘か。 一軒屋の前でタクシーが止まった。

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