2020年2月19日水曜日

真昼の花/別れの理由

角田光代(著)
本にはまりだした頃を思い出した。






真昼の花と、地上八階の海の2遍。

「真昼の花」
家を出て海外に行った兄の後を追うようにして、
アジアに渡った若い女性。

食費も削って安宿に泊まって売れるものを売り、
とうとう日本企業の前で物乞いを。それでも帰りたくない。

「地上八階の海」
最近別れた男からの手紙が毎日のように届き、留守番電話に
無言の着信。

兄はすでに家庭を持ち、妻と子供がいる。
兄の近くに引っ越した母。彼女が男と別れた理由とは。


真昼の花は、読み始めてすぐにアジアの匂いがし始める。
観光客が近づかないだろう、ごみごみとしていろんなものが
混ざった匂い。

そんな中で、彼女は自問自答する。先に勧めず後に戻る気にもなれず。
そんなものだと白けもせず、誰かが考えそうな答えに
安易に飛びつきもせず。

無駄に時間が流れながら、ジタバタしてる感じ。
この感じが好き。


地上八階の海。うまいなと思う。
何気ない時に、ふっとそういう事かと思い当たる事ってある。

彼女が男性と別れた理由。表面的に言えば、彼が言った一言。
何故、あの一言が別れの理由になったのか。
本人さえわかってなかったんだろう。

それが、ある日ふっとわかってしまう。
男性からの手紙に描写される彼女は、実際の彼女とは違う。
男が、彼女を見てるわけじゃない事を肌で感じていたんだろう。
だから、彼女は男と真剣に向き合わなかった。

もし男が実際の彼女を見ていたのなら、あの2人の関係は
変わっていたはずだもの。

ところが男はそんな事に気付かずに、当然のように妻、恋人の
役割をふってきた。それがあの一言だったんだろう。
彼女にすれば、2人の温度差がはっきりした瞬間だったんだろうな。