本にはまりだした頃を思い出した。
真昼の花と、地上八階の海の2遍。
「真昼の花」
家を出て海外に行った兄の後を追うようにして、
アジアに渡った若い女性。
食費も削って安宿に泊まって売れるものを売り、
とうとう日本企業の前で物乞いを。それでも帰りたくない。
「地上八階の海」
最近別れた男からの手紙が毎日のように届き、留守番電話に
無言の着信。
兄はすでに家庭を持ち、妻と子供がいる。
兄の近くに引っ越した母。彼女が男と別れた理由とは。
真昼の花は、読み始めてすぐにアジアの匂いがし始める。
観光客が近づかないだろう、ごみごみとしていろんなものが
混ざった匂い。
そんな中で、彼女は自問自答する。先に勧めず後に戻る気にもなれず。
そんなものだと白けもせず、誰かが考えそうな答えに
安易に飛びつきもせず。
無駄に時間が流れながら、ジタバタしてる感じ。
この感じが好き。
地上八階の海。うまいなと思う。
何気ない時に、ふっとそういう事かと思い当たる事ってある。
彼女が男性と別れた理由。表面的に言えば、彼が言った一言。
何故、あの一言が別れの理由になったのか。
本人さえわかってなかったんだろう。
それが、ある日ふっとわかってしまう。
男性からの手紙に描写される彼女は、実際の彼女とは違う。
男が、彼女を見てるわけじゃない事を肌で感じていたんだろう。
だから、彼女は男と真剣に向き合わなかった。
もし男が実際の彼女を見ていたのなら、あの2人の関係は
変わっていたはずだもの。
ところが男はそんな事に気付かずに、当然のように妻、恋人の
役割をふってきた。それがあの一言だったんだろう。
彼女にすれば、2人の温度差がはっきりした瞬間だったんだろうな。