アンドリュー・テイラー/天使の遊戯

3部作の1冊目。物語としては最後の話。この本を先に読んでなかったら、他の2冊は読んでないかも。




ルーシーの行方

部長刑事のマイケルと教会の副牧師のサリーの間に生まれた一人娘のルーシーが、預け先からさらわれた。犯人は、女性なのに副牧師なんてと騒いだ信者か、それとも刑事を恨んでの犯行なのか。

マイケルの名付け親ディビットは、女性の聖職者を神学上の理由から認めてはいない。そう考える他の信者もいる。仕事のストレスと忙しさ、娘にたっぷり時間をかけてやれない後ろめたさ。そんな中、ルーシーが消えた。


エディとエンジェル

エディは母と共に暮らしていた。お金がないので母が間借り人を募集した。間借り人としてきたのがエンジェル。エディは子供の頃、近所の少女と共に父に裸の写真を撮られていた。そういう人に言えない事を抱えたエディに、エンジェルは共感を示してくれた。

そしてある日、口うるさいエディの母が亡くなった。エディは子供が好き。体は大人だが心は子供のままのような人。そのエディをそそのかし、地下室を改造するエンジェル。防音装置、ちょっとした調理台、冷凍庫。


子供の手

ルーシーが見つからずサリーは眠れず狂いそうな日々を送っている。そんな中、子供の手が見つかった。が、それはルーシーの手ではなかった。

一方、エディはエンジェルが連れてくるお友達が、さよならも言わず帰ってしまうのを淋しく思っていた。だが、ルーシーはエンジェルにとっても特別らしいとも感じていた。エンジェルが出かけた日、地下室でルーシーが泣く声が聞こえた。

エディは安心さようとして、地下室に降りていった。そこには調理したような形跡を見つけた。冷凍庫をあけたエディは、そこに小分けにされた肉の塊を見つける。


危険を犯すエディ

エディはルーシーを連れて家を出た。だが、どうしていいかわからない。エンジェルはとても賢いし、エディはこれまでエンジェルのいいなりだった。家に帰りたいと言うルーシーに、そんなに簡単にはいかないんだよと思うエディ。

自分が捕まるかもしれない事はわかる。出来ればそうはならずに、ルーシーを両親の元へ返し、エンジェルにも知られずに穏便にすませたい。それがかなわぬと解っているのだけど。


エンジェルというシリアルキラーが、エディという青年を操り家をのっとる。エディの母も多分エンジェルが殺してる。賢く残忍なエンジェル。

一方、サリーは善良だが多忙でストレスと罪悪感をかかえてる。どうして女性が聖職者じゃいけないのか。人の話を聞き励ましながら、自分の娘と共にいられる時間が少ない事にも罪悪感を抱いてしまう。

ルーシーは大人びてて可愛くなくて可愛い。大人の口癖を真似てエディを心配したりするのに、そのすぐ後にママに会いたいと幼い子供が顔を出す。書いてて気づいた。エンジェルとサリーには、女性と教会という共通点があるんだな。

アンドリュー・テイラー/天使の背徳

前作、 天使の遊戯 のエンジェルの思春期。 妻に先立たれ娘と2人暮らしの牧師ディヴィット。